仕事が終わった後、リンガに戻っていたかつての仲間たちに顔を見せてから、再びマーズ村に戻り、さりげなくマーズの村人たちにノエルの様子を尋ねてみますと、感心なことに、彼は自分でお金を稼ぐためにリンガ大学から研究を受けたり、マーズ村の医療関係の仕事を手伝ったりして生計を立てているとのことでした。こんな短い期間にそこまで生きる気力を見せているというのは実に立派なことではありますが、ノエルにしては何だかペースが早すぎるような気がして、わたくしは、気が気でなくなってしまい、村に戻るとすぐに彼の小屋へと向かいました。小屋へ行くためには、森の中を徒歩で一時間近く歩かなければなりません。わたくしも帰ってきたばかりで疲弊してはいましたが、それよりも彼の様子が気になって仕方がなかったのでした。しばらくして、日差しが届きやすい、やや開けた場所に出ますと、ひっそりと佇む彼の小屋が視界に入ってきたのですが、その手前に、彼がひとりきりで地面に佇んで、じっと一点を見つめている姿がありました。一体何をしているのだろうと疑問に思い、気配を消してこっそりと近づくと、どこか感情の失われた表情でいる彼の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ始めました。