akam 甘美な恋人5 2026.4.6
自分の二次創作中の赤安について学習させたAIに、プロットに対して執筆作業において下地のみを任せ、私が更に加筆修正等の細かな編集を行っています。無断転載等はおやめください。
庁舎内の奥まった区画。
入退室は二重認証。金属探知と生体認証を抜けた先にある、窓のない執務室。
壁は無機質な灰色で統一され、外界とは切り離された空間だった。
室内は広くはない。デスクは整然と並び、配線は露出しない。端末は外部回線と完全に分離されている。
会話は小声で行われ、私語はほとんど存在しない。必要な情報だけが、必要な音量で交わされる。
その均質な空間に、小さな違和感があった。
降谷零の機嫌がいい。
表情は普段と変わらない。声も一定。命令も簡潔。視線も鋭い。
だが、空気の圧が違う。いつもなら一瞬の遅れを許さない確認を今日は言い直さない。若手の報告の詰まりに、わずかに待つ余裕がある。
修正指示が短い。苛立ちが混じらない。
「資料はそこまででいい。次の案件に移る」
声は淡々としている。
だが、部下たちは無意識に察していた。今日は嵐の日ではないらしい。
風見は端末の暗い画面に映る自分の顔を見た。
三日前の非番、三日間の穏やかさ、今朝のこの空気――符合する。
しかし業務上、確認は必要だ。FBI捜査官が国内に滞在する以上、形式としては押さえておくべきだろう。
昼前。資料保管室。
ドアが閉まると、外部の音は完全に消えた。降谷は棚からファイルを抜き取り、内容をめくっている。
立ち姿に隙はない。視線は紙面に落ちたままだ。
「何だ」
振り返らずに言う。
風見は距離を取り、声を落とす。
「確認ですが」
視線が上がる。淡い瞳が、静かにこちらを測る。
「赤井さんは来日していますか」
空気が止まった。
降谷は無言で風見を見つめる。その視線には警戒も苛立ちもない。ただ、意図を量る冷静さがある。
「業務に関係あるのか」
低い声。平板。
「FBIの動向把握は必要ですので」
事実だけを述べる。余計な含みは持たせない。
数秒の間がある。
降谷はふんと息を吐いた。
「来てる」
至極、簡潔だった。
「予定通り」
それ以上の説明はない。
だが、その一瞬、彼の目が緩んだ。任務報告ではない色が混じる。
風見はそれを確認するだけで十分だった。
「ありがとうございます」
踵を返すと、背後から声が落ちた。
「風見。午後の件、君が主導でいい。任せる」
どうやら評価らしい。
「承知しました」
資料室を出ると、再び均質な空気に戻る。
廊下で同僚が小声で尋ねてくる。
「今日、降谷さん、なんか穏やかですね?」
風見は肩をすくめた。
「コンディションが良いんでしょう」
それ以上は言わない。言えるはずがない。
その後、執務室に戻ると、先に戻っていた降谷が端末を操作している。視線は鋭く、動きは正確。いつもの公安の男だ。
そのとき、机上の個人端末が短く震えた。業務端末ではない私用のもの。
降谷はちらりと画面を見る。指は触れない。通知だけを確認し、伏せると口元に小さな笑みが浮かぶ。
風見は端末から目を離さず、内心で呟く。
(確認は不要だったな)
午後の案件処理は、驚くほど滞りなく進んだ。
区画はいつも通り無機質で、静かで、いつもより完璧だった。
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