私は深い憎しみと悲しみと共に生きていかなければならなかった。
それが愛する人を裏切った罪への償いになるというのならば。
しかし私の生を全てなげうったとしても懺悔などしきれない。
生まれ変わり、転生しようが、私の魂は永遠に罪深いまま。
自分を憎むと同時に誰かを憎まずにはいられなかった。
神経質で潔癖なあの世界において、たまたま都合の良かった純朴な青年にその矛先を向けた。
心が綺麗であればあるほど負った傷は深い。私を失ったことで永遠に悲しみ続ける存在が私には必要だった。
彼女と私の運命を握っていた者に私と同じ思いをさせること、それが私の復讐だった。
思慮深い彼女ならば私のこの愚かしい行為を止めたがるだろう。
そんなことは分かっている。私のこの残酷な願いが、ますます彼女を裏切ることになるということも。
それでも私は復讐の刃を誰かの心に突きつけたかった。
けれど時おり、私の中にある優しさが邪魔をした。
人を救う立場にいたせいか、真っ直ぐに人間を憎めない。
時と共に、あれだけ途方もなかった憎悪が風化していくことが私には恐ろしかった。
だから私は、たとえ憎しみが和らぎようとも自分自身を赦さないために、彼女以外の誰も愛さないことを決めたのだ。
私はあれ以来、誰かを本気で愛したことはない。心許したことも、信頼したことも。
私の心は彼女だけのもの。
私は憎かった。
あの男と、清き地に住まう者たちと、彼女を救えなかった自分自身と、消し去ろうと思っても消えない自分の内に眠っている優しさが……
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