izkk X限定テキスト フォーカス 2025.1.9
プロットや編集は私、AIには文章下地をまかせています。
リビングの時計が、午前七時半を示している。
和泉はネクタイを締めながら、寝室にある鏡の前に立っていた。
「少し曲がってますね」
背後から、歩み寄ってきた菊之助が声をかける。和泉は鏡越しにちらりと相手を見やり、軽く肩をすくめた。
「気にしすぎだろ」
そう言いつつも、手を止める様子はない。菊之助はため息を一つ漏らし、ネクタイにそっと手を伸ばした。
「俺が直します」
「別にいいって」
和泉が反射的に言葉を返すが、菊之助の手は止まらない。しっかりと結び目を整え、襟元に指を滑らせる動作は慣れたもので、和泉は仕方なく身を任せた。
「こういうの、少しは自分で気をつけてください」
菊之助は微笑みながら呟き、襟を軽く整える。
「お前がいるから心配する必要がないんだよ」
和泉がぼそっと言うと、菊之助の手が一瞬止まる。和泉は見定めるように軽く目を細めて、菊之助を見た。
菊之助が眉を下げ、「そういうことじゃないんですけど」と返すと、和泉は小さく笑った。
「助かってるよ」
その言葉に、菊之助の頬が赤らむ。気まずそうに目を逸らそうとするその仕草を、和泉は面白がって見つめた。
「朝から初々しい奴め」
そう言って、和泉はほんの一瞬、菊之助の頬に軽く唇を触れる。
「い、和泉さん!」
「大声出すなよ。誰かに聞かれるぞ」
冗談めかした口調で言うと、菊之助は小さく息をつきながら「ここにいるのは和泉さんと俺だけです」と少し拗ねたように言い返した。
「出勤前にこんなことしてるなんて、誰も知らないだろうな」
和泉は、からかうような笑みを浮かべながら再び鏡を見て、完璧に仕上がった首元に満足する。
その余裕たっぷりの態度に、菊之助が小さく「もう」と呟くように言った。
「早く準備してくださいよ。遅刻します」
ため息混じりに言いながらも、菊之助の声にはどこか柔らかな響きがあった。
玄関で二人並んで靴を履く。菊之助が立ち上がりながら玄関の壁に掛かる鏡で襟を整えるのを見て、和泉はさりげなく背中を軽く叩いた。
「さあ、今日も頼むぞ、相棒」
その言葉に、菊之助は目を細めて微笑んだ。
「はい、よろしくお願いします、和泉さん」